BUD POWELL

数あるビバップスタイルのジャズ音楽の中で筆頭に挙げられる歴史に残る天才ピアニストである。現在に於いてもスタンダードな演奏形態であるピアノ・ペース・ドラムのトリオ編成を作った第一人者とも言われている。祖父はギター奏者、父はピアニストであり、恵まれた環境の元シリアスミュージックの正規の教育を受ける。そ後にアート・テイタムの影響を受けてインプロビゼーションの世界に参入した。彼の生涯は栄光と孤独とのせめぎ合いによって綴られており、唯一の親友であったセロニアス・モンクとの交流も創造の世界では断絶されたかのような独創性を感じさせる。彼のプレイの最盛期とでも言うべき期間は四十年代後半から五十年代初頭にかけての時期であるのだが、筆者個人としてはその後、優劣を繰り返す葛藤の中でのプレイに彼の底知れない才能と人間性と言った二つの次元での表現領域が、演奏家としてのバドの全てに近いものを描き出している様に感じるのである。しかし、彼の残されたプロフィールの写真を紐解くと、下記に掲載された薄暗い中での室内で、楽器を前に測り知れない呻きのようなエネルギーを、「天才ピアニストとして構築する」その姿を粗末な硬い電球光を浴びての撮影、、、。作為的な発想の元に写真撮影が行われ、軽薄な表情と安っぽいビジュアル志向が横行する昨今のフォトグラフの中で、段を逸する絶技として目に焼きつく強烈なプロフィール写真であり、ブラックピープルのミュージシャンとしての肖像フォトとして群の抜く力作と感じ入るばかりである。